Claude Haiku 5.5は、入力100万トークンあたり$0.10から使える小さなモデルです。ただし、プロンプトが10万トークンを超えた瞬間に単価が5倍になります。「前世代より平均75%安い」という見出しだけで移行を決めると、請求書で驚くことになります。
この記事では、料金の仕組みを数字で確かめたうえで、Sonnet 5.5・Opus 5.5との役割分担、公式の移行ガイドにある落とし穴、Claude Codeでの設定、法人のコスト設計までをまとめます。情報は2026年10月時点の公式ドキュメントに基づきます。
この記事でわかること
- Haiku 5.5の料金が10万トークンを境に二段階になる理由と、実際の請求額の見積もり方
- Haiku 5.5が得意な仕事と、Sonnet 5.5・Opus 5.5に任せるべき仕事の判断表
- 移行で壊れやすいAPIの変更点と、クラウド経由で見落としやすい注意点
- Claude Codeのサブエージェントに
haikuを割り当ててよいか、割り当てるときの落とし穴 - 法人として評価セットを作り、モデルの担当表を決める手順
Haiku 5.5は「安いSonnet」ではなく大量処理の下請け役
Haiku 5.5は、分類・抽出・振り分けのような大量で低遅延の仕事を、最小のコストでさばくモデルです。「件数が多くて1件あたりの判断は軽い」仕事の単価を下げるためのモデルと捉えると、判断を誤りません。
既存モデルとの位置づけの違い
Claudeのラインナップは、上から順に役割が分かれています。最上位のFable 5.1は高難度の推論と長時間のエージェント作業、Opus 5.5は長時間のコーディングやナレッジワーク、Sonnet 5.5は速度と知能のバランス、そしてHaiku 5.5が分類・抽出・ルーティングです。公式の案内は「迷ったらまずOpus 5.5」で、Haikuは用途がはっきりしたときに選ぶモデルです。
最上位モデルの設計思想は、Claude Mythos・Fableの解説記事にまとめています。モデル群全体の機能はClaudeの機能一覧が早いです。
いま読む価値がある理由
理由は3つあります。単価が前世代の10分の1(10万トークン以下の場合)まで下がったこと。コンテキスト長が200Kから1Mトークンに広がったこと。Claude Codeのサブエージェントの下請けとして、日常業務に入ってくることです。
一方、新しいトークナイザー(文章をトークンに刻む仕組み)の影響で、同じ文章でもトークン数が約30%増えます。ここを織り込まない試算は外れます。
料金は10万トークンを境に二段階になる
Haiku 5.5の料金は、1回のリクエストのプロンプトが10万トークン以下か超えるかで決まります。以下なら入力$0.10・出力$0.50、超えると入力$0.50・出力$2.50です。単価はどちらも100万トークンあたりで、料金は公式の料金ページで確認できます。
モデル別の料金比較
| モデル | 入力 | 出力 | キャッシュ読込 |
|---|---|---|---|
| Haiku 5.5(10万トークン以下) | $0.10 | $0.50 | $0.01 |
| Haiku 5.5(10万トークン超) | $0.50 | $2.50 | $0.05 |
| Haiku 4.5 | $1 | $5 | $0.10 |
| Sonnet 5.5 | $2 | $10 | $0.10 |
| Opus 5.5 | $4 | $20 | $0.20 |
| Fable 5.1 | $10 | $50 | $0.25 |
すべて100万トークンあたりの米ドルです。キャッシュの書き込み料金は、5分キャッシュで入力のおよそ1.25倍に設定されています。Batch APIを使うと、入力・出力とも50%引きです。
Haiku 4.5より、10万トークン以下で90%、超でも50%安くなります。Sonnet 5.5と比べると、10万トークン以下なら入力・出力とも20分の1です。
「平均約75%安い」の中身
Anthropicは、Haiku 4.5のリクエストの約90%が10万トークン以下だったことと、新トークナイザーでトークン数が増えることを織り込んで、平均約75%の低減と説明しています。単価ベースでは90%と50%です。
気をつけたいのは「平均」です。長い資料を丸ごと渡す組織は、ほとんどのリクエストが10万トークンを超えるので、低減幅は50%に近づきます。75%はHaiku 4.5の利用者全体の平均値で、自社の数字ではありません。
10万トークンの崖を数字で見る
境目はリクエスト全体にかかります。公式表の書き方は「10万トークンを超えるプロンプトの場合」で、超過分だけに高い単価がかかる累進方式ではありません。次の表は、Haiku 5.5の入力側だけの金額です。
| プロンプトの長さ | 入力単価 | 入力料金(1リクエスト) |
|---|---|---|
| 99,000トークン | $0.10 | 約$0.0099 |
| 100,000トークン | $0.10 | $0.0100 |
| 100,001トークン | $0.50 | 約$0.0500 |
たった1トークンで、料金が5倍になります。しかも約30%のトークン増があるため、Haiku 4.5で8万トークンだった入力は、Haiku 5.5では約10万4千トークンに膨らみ、境目を越えます。この場合、料金はHaiku 4.5の$0.08から$0.052に下がるだけです。境目の手前に収まっていれば約$0.01で済んだはずなので、5倍の開きが生まれています。単価の安さに目を奪われてプロンプトを無造作に長くすると、この崖を踏みます。
なお、キャッシュから読み込んだ分も10万トークンの判定に含めるかどうかは、公式ドキュメントでは明文を確認できていません。二次情報には「含む」とする解説がありますが、設計に使う前に、少量のリクエストで請求額を実測してください。
キャッシュ・thinking・Batchの組み合わせ
実コストは、単価だけでは決まりません。まずキャッシュです。最小のキャッシュ対象は512トークンまで下がっています(Haiku 4.5は4,096トークン)。短いシステムプロンプトでもキャッシュに乗せやすくなりました。
次にthinking(モデルが答える前に行う内部の推論)です。Haiku 5.5は既定で有効で、thinkingに使ったトークンも出力として課金されます。出力は入力の5倍の単価なので、思考が長くなる設定ほど、請求額への影響が大きくなります。
Batch APIの50%割引は、即時の応答が要らない夜間処理に向きます。キャッシュ、Batch、10万トークン以下がそろうと、単価は標準から大きく下がります。
性能は軽量でも高く、複雑なコーディングはSonnetとOpusに回す
Haiku 5.5の公式ベンチマークは、Haiku 4.5からの伸びが際立ちます。ただしSonnet 5.5の代わりにはなりません。公式自身が、複雑なエージェント型コーディングはSonnet 5.5かOpus 5.5が向くと明記しています。
公式ベンチマークの読み方
公式の発表に載っているHaiku 5.5とHaiku 4.5の比較は次のとおりです。
| 指標 | Haiku 5.5 | Haiku 4.5 |
|---|---|---|
| OSWorld 2.1(オフラインサブセット) | 72.4% | 15.7% |
| Humanity’s Last Exam(ツールなし) | 45.9% | 10.2% |
| Terminal-Bench 4.0 | 39.2% | 0.0% |
| GDPval-AA v2.1(Elo) | 1620 | 735 |
| Chartography(ツールなし) | 46.4% | 6.4% |
OSWorldは画面操作、Terminal-Benchはターミナル作業を使ったエージェント能力を測る試験です。Haiku 4.5がほぼできなかった領域で、実用に近づいています。
これらはすべてベンダー自身の報告値で、第三者による検証は確認できていません。数字は選定の入口に使い、最終判断は自社の評価セットでします。
得意な仕事と任せない仕事
公式が推す用途は、要約、会話履歴の圧縮、データベースへの問い合わせ生成、分類といった大量処理です。ライブのカスタマーサポートやブラウザ操作のように、待ち時間が体験に直結する用途も挙がっています。
任せるべきでないのは、複数ファイルにまたがる設計変更や、手戻りの大きいコード修正です。ここでHaikuの安さを選ぶと、再試行と人手の修正が積み上がり、モデル料金の差額を超えることがあります。
effortの設定で挙動が変わる
Haiku 5.5にはeffortという設定があり、low、medium(既定)、high、xhigh、maxから選びます。公式のプロンプトガイドによると、lowは最安・最速で、チャットや単純な大量処理向けです。ただし長いエージェント作業では、検索を飛ばす、早く止まる、確認を省くといった挙動が増えます。
公式のテストでは、lowからmediumに上げると早期停止が約半減し、1試行あたりの出力トークンは2倍超になりました。品質を取ると料金が増えます。またlowとmediumでは、コード変更を検証せずに「完了」と報告することがあります。プロンプトに「変更後にテストを実行し、結果を確認してから報告する」と書いておくのが対策です。
Sonnet 5.5・Opus 5.5との使い分けは判断表で決める
使い分けの軸は「失敗したときの手戻りコスト」と「1日の処理件数」の2つです。賢さを軸にすると、結局いつも上位モデルを選ぶことになります。
用途別の担当表
| 仕事の種類 | 推奨モデル | 理由 |
|---|---|---|
| 問い合わせの分類・振り分け | Haiku 5.5 | 件数が多く、1件の判断が軽い |
| 文書からの項目抽出、要約 | Haiku 5.5 | 出力が短く、検証もしやすい |
| 会話履歴の圧縮 | Haiku 5.5 | 毎ターン走るため単価が効く |
| ライブのサポート応答 | Haiku 5.5 | 待ち時間がそのまま体験になる |
| 通常のコーディング支援・社内ツール | Sonnet 5.5 | 速度と精度のバランス |
| 設計をまたぐ長時間のコーディング | Opus 5.5 | 迷ったらまずこちら |
| 高難度の推論・長時間の自律作業 | Fable 5.1 | 最上位 |
この表は出発点で、自社の評価で書き換える前提です。Haiku担当の仕事でも、誤答の影響が大きい業務(契約書の判定など)は、Sonnetに上げるか人の確認を入れてください。
安さの比較は「成功1件あたり」で見る
単価の比較はミスリードになりがちです。見るべきは、1件の仕事を成功させるまでにかかった総額です。 たとえば、Haikuが10件中7件成功し、失敗3件を人が直す場合を考えます。人の修正時間の単価が高い仕事なら、Sonnetが10件中9件成功するほうが、総額は安くなります。逆に、誤答の影響が小さく再試行が安い分類のような仕事は、Haikuが圧勝します。「失敗が安い仕事」をHaikuに、「失敗が高い仕事」を上位モデルに。これが基本方針です。
キャッシュ読込の価格差
Sonnet 5.5もHaiku 5.5と同時にキャッシュ読込が半額(100万トークンあたり$0.20から$0.10)になっています。エージェント型の作業は同じ文脈を何度も読み直すので、Anthropicの説明では約20%安くなります。
それでも、Haiku 5.5のキャッシュ読込($0.01)はSonnet 5.5($0.10)の10分の1です。共通プロンプトが長く、毎回の質問が短い処理ほど、Haikuが有利になります。
移行の落とし穴は公式の移行ガイドに書いてある
Haiku 4.5から移行するとき、モデル名を書き換えるだけでは動かない箇所があります。公式の移行ガイドから、実害の大きい順に整理します。
400エラーになる変更
次の指定は、Haiku 5.5でエラーになります。
| 項目 | Haiku 5.5での扱い |
|---|---|
thinking: {type: "enabled", budget_tokens} | 400エラー。{"type":"adaptive"}とoutput_config.effortへ置き換える |
| assistantの先頭文の事前入力(prefill) | thinkingをオフにしても400エラー。末尾はuserのターンにする |
thinking: disabledをxhigh・maxと併用 | 400エラー。low・medium・highでのみ有効 |
旧コンピュータ操作ツールcomputer_20250124 | 400エラー。新しいツール版へ置き換える |
temperature、top_p、top_kは、3つとも省略するのが公式の指示です。API バージョン2026-10-21では、これらのパラメーター自体が削除され、指定すると400エラーになります。ブログなどに出回る「temperatureは1なら通る」といった細目は、移行ガイドでは確認できません。省略が最も確実です。
静かに壊れる変更
怖いのは、エラーにならずに結果だけがおかしくなる変更です。
thinkingが既定でオンになったため、thinkingを指定していなくても、応答の先頭がthinkingブロックになることがあります。レスポンスのcontent[0].textを固定で読むコードは壊れます。ブロックの種類(type)で選ぶ書き方に直してください。
max_tokensにもthinkingのトークンが含まれます。値が小さいと、thinkingだけで上限に達し、本文が出ないままstop_reason: "max_tokens"で終わります。thinkingの中身も既定では空で、署名だけが返ります。要約を読みたいならdisplay: "summarized"を指定します。
もうひとつ、過去のthinkingブロックが以降のターンの入力トークンとして数えられます。Haiku 4.5は直近のターンの分だけでした。会話が長くなるほど、入力料金が増え続け、10万トークンの崖にも近づきます。
thinkingブロックの再送ルール
thinkingブロックは、生成したアカウントか連携アカウントでしか使えません。別のアカウントで再生すると、黙って捨てられます。
前のターンのsystem・tools・messagesを書き換えたあとにthinkingブロックを送り返すと、400エラーです。会話履歴は追記だけにしてください。履歴を整形して短くする処理を入れている組織は、ここで引っかかります。
また、Sonnet 5.5やOpus 5.5が出したブロックは、Haiku 5.5に読まれずに捨てられます。逆の方向(Haikuのブロックを上位モデルに渡す)は読めますが、Claude APIとGoogle CloudのGoogle managedに限られます。モデルを切り替えながら1つの会話を続ける設計では、この非対称性が効きます。
新しく起きる拒否と対応外の機能
安全分類器によるstop_reason: "refusal"が、新たに発生しうるようになりました。分野はcyber、frontier_llm、bio、general_harmsです。サーバー側のフォールバックはなく、同じ要求を再送しても通常はまた拒否されます。
セキュリティ診断のような正当な業務で拒否が出る場合は、Cyber Verification Programに申請できます。「失敗したらもう一度送る」だけの再試行では、拒否のたびに無駄な課金が重なります。拒否は再試行せず、別の処理経路へ回すコードにしてください。
また、Haiku 5.5はPriority Tierに対応していません。応答の優先度を契約で確保している組織は、この点を契約窓口に確認してください。context awarenessのタグは注入されなくなり、代わりにtask budgets(beta)があります。強制したtool_choiceでは、thinkingブロックを挟まず、いきなりツール呼び出しから始まります。
Haiku 4.5はいつまで使えるか
claude-haiku-4-5-20251001は、2026年10月24日時点でActiveです。廃止は「2026年10月15日より早くはならない」という暫定の表記で、deprecated(廃止予定)の通知は出ていません。通知は廃止の60日以上前に出ると公式に書かれています。
すぐ止まるわけではありませんが、今のうちに評価セットを作らないと、通知が来たときに慌てます。Claude Codeを使っているなら、/claude-api migrate this project to claude-haiku-5-5でコードの移行を支援してもらえます。実行前に対象範囲の確認を求められます。Managed Agentsの場合は、モデル名の更新だけで済みます。
Claude Codeでの使い方は「haikuが指すモデル」を確認するところから
Claude CodeでHaiku 5.5を使うには、バージョンがv2.1.293以上であることが条件です。/model claude-haiku-5-5、または起動時にclaude --model claude-haiku-5-5で選びます。Anthropic APIでは、1Mコンテキストが全プランで追加指定なしで使えます。Claude Enterpriseの管理画面によるモデル制限ではHaikuを無効化できませんが、availableModelsによる制限にはその例外が書かれていません。詳細は公式のモデル設定ドキュメントにあります。基本的な使い方はClaude Codeの概要記事で押さえられます。
サブエージェントに割り当てる方法と決定順
重い調査や機械的な処理をHaikuに任せると、メインの会話のコストが下がります。サブエージェントの定義ファイルの先頭に、次のように書きます。
---
name: log-summarizer
description: ログを要約して要点だけ返す
model: haiku
---
modelに指定できるのは、sonnet、opus、haiku、fable、完全なモデルID、inheritです。実際に使われるモデルは、次の順で決まります。
- 呼び出し時の
modelパラメーター - 定義ファイルの
model - 環境変数
CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL - メイン会話のモデル
全サブエージェントを一括で強制したいときは、CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODELに加えてCLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL_FORCE=1が必要です(v2.1.257以上)。サブエージェントとスキルの使い分けは、スキルとサブエージェントの違いの解説で扱っています。
クラウド経由では別名が旧モデルを指す
ここが、クラウド経由で使う法人で事故になりやすい点です。haikuという別名の解決先は、接続先によって違います。
| 接続先 | haikuの解決先 |
|---|---|
| Anthropic API | Haiku 5.5 |
| Amazon Bedrock | Haiku 4.5 |
| Google CloudのAgent Platform | Haiku 4.5 |
| Microsoft Foundry | Haiku 4.5 |
| Claude Platform on AWS | Haiku 4.5 |
同じmodel: haikuのサブエージェントが、個人のPCでは5.5、社内のBedrock環境では4.5で動く可能性があります。品質とコストが環境ごとにずれ、「手元では動いたのに」という報告が出ます。
解決策は2つです。バージョンを固定したいなら、別名ではなく完全なモデルIDを指定します。別名のまま運用するなら、環境変数ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODELで組織として明示的に上書きします。BedrockのモデルIDはanthropic.claude-haiku-5-5で、APIのclaude-haiku-5-5とは表記が違います。
また、保存済みのセッションがhaikuで設定されていると、Anthropic API上では再開時にHaiku 5.5へ切り替わり、挙動が変わります。
誤解されやすい組み込みExploreの挙動
組み込みのExploreサブエージェントは、既定ではHaikuを使いません。メイン会話のモデルを使います(メインがFableの場合は、接続方法によって解決先が変わります)。「調査用は勝手に安いHaikuで動いている」と思い込むと、請求が想定より高くなります。Exploreを安く回したいなら、Exploreという名前でmodel: haikuを指定したカスタム定義を作って上書きします。なお組み込みのclaude-code-guideはHaikuで動きます。
Claude Code上のHaiku 5.5は、adaptive thinking固定で、thinkingをオフにできません。effortはlowからmaxで、既定はmediumです。なお、サブエージェント向けのHaiku 5.5の推奨設定そのものは、公式ドキュメントでは確認できていません。発表では「Sonnet 5.5やOpus 5.5のサブエージェントとして」使う用途が挙がっているだけです。まずは調査・要約・ログ解析のような読み取り中心の処理から試すのが堅実です。
チームでの導入手順や権限設計まで含めて整えたい場合は、Claude Code研修で、サブエージェントのモデル割り当てとコスト管理を実際の環境で体験できます。
法人のコスト設計は評価セットとモデル担当表から始める
決めるべきは、「どのモデルを使うか」よりも「どの仕事にどのモデルを割り当て、その根拠を何で示すか」です。担当表と評価セットがあれば、モデルが更新されても同じ手順で見直せます。
試算例で全体像をつかむ
次の条件で試算します。1日10万件の問い合わせ分類。1件あたり、入力3,000トークン、出力300トークン(Haiku 4.5基準)。新トークナイザーで、入出力とも約30%増えるものとします。thinkingの出力や、キャッシュ、Batch割引は含めません。
| 構成 | 1日あたりの概算 |
|---|---|
| Haiku 4.5 | 約$450(入力$300+出力$150) |
| Haiku 5.5 | 約$58.5(入力$39+出力$19.5) |
| Haiku 5.5+Batch API | 約$29 |
| Sonnet 5.5 | 約$1,170(入力$780+出力$390) |
この前提なら、Haiku 4.5から約87%の削減です。「平均75%」より大きいのは、すべてのリクエストが10万トークン以下に収まるからです。Sonnet 5.5との差は約20倍で、1年では相当な額になります。
thinking出力を足すと、数字は上振れします。数日分のログで実測値を取り、この表を自社の数字で作り直してください。
評価セットの作り方
モデル選定の根拠は、ベンチマークではなく自社の評価セットです。作り方の目安は次のとおりです。
- 実際の業務ログから、代表的な依頼を20件前後抜き出す
- 正解(または合格基準)を、担当者が事前に決める
- Haiku 5.5を
low・medium・highの3水準で、Sonnet 5.5と並べて走らせる - 成功率、再試行率、人手の修正率、1件あたりの総額を記録する
- プロンプト長の分布を取り、10万トークンを超える割合を確認する
公式のプロンプトガイドも、xhigh・maxを使う場合はSonnet 5.5との比較評価を勧めています。手順の4が肝心です。成功率だけならHaikuは負けますが、総額で見ると勝つ仕事と負ける仕事が分かれます。
運用ルールに落とす
担当表が決まったら、次の3点を運用ルールにします。
- モデルIDは完全なIDで固定し、別名は使わない
- 10万トークンに近いプロンプトは、設計の見直しを検討対象にする
- 月に一度、評価セットを再実行し、担当表を更新する
モデルの選び方を属人化させない体制づくりは、AI駆動開発研修で扱っています。
よくある質問
Haiku 5.5の料金はいくらですか。
100万トークンあたり、プロンプトが10万トークン以下なら入力$0.10・出力$0.50です。10万トークンを超えると入力$0.50・出力$2.50になります。Batch APIなら、どちらも50%引きです。
Haiku 5.5とSonnet 5.5の違いは何ですか。
Haiku 5.5は分類・抽出などの大量処理向けで、料金はSonnet 5.5の20分の1(10万トークン以下の場合)です。複雑なコーディングやエージェント作業は、Sonnet 5.5やOpus 5.5のほうが向きます。
Haiku 4.5からの移行は急ぐ必要がありますか。
急ぐ必要はありません。2026年10月24日時点でHaiku 4.5は利用でき、廃止予定の通知も出ていません。通知は廃止の60日以上前に出るので、その間に評価と段階移行を進められます。
Claude Codeでhaikuと指定すればHaiku 5.5になりますか。
Anthropic APIではなります。Bedrock・Google Cloud・Microsoft Foundryなどのクラウド経由ではHaiku 4.5を指します。確実にそろえるには、完全なモデルIDのclaude-haiku-5-5を指定してください。
Claude APIの料金で、いちばん見落としやすい点は何ですか。
10万トークンを境にした単価の跳ね上がりです。新トークナイザーでトークン数が約30%増えるため、移行前は境目の手前だった入力が、移行後に超える可能性があります。
まとめ
最初にやることは、自社のプロンプト長の分布を取ることです。10万トークンを超える割合がわかれば、「平均75%安い」が自社に当てはまるかどうかが、その場で判定できます。
次に、業務ログから20件前後の評価セットを作り、Haiku 5.5とSonnet 5.5を並べて走らせます。見るのは成功1件あたりの総額です。十分な精度が出る分類や抽出から、Haikuに移してください。
Claude Codeを使う組織は、haikuの別名がどのモデルを指すかを、すべての接続環境で確認します。確認できたら、完全なモデルIDで固定してください。
Haiku 5.5の導入を、評価セットの作り方やモデル担当表の設計まで含めて社内に定着させたい場合は、Claude Code研修が実環境での運用に即した内容です。AI活用の推進体制から整えるなら、AI駆動開発研修も選べます。


